• 歯ブラシの咽頭への穿孔(子どもの歯磨き中の喉突き事故 )

    むし歯の予防や口腔内を清潔に保つため、歯磨きはとても大切な生活習慣です。
    乳幼児期から自分で歯磨きしたり仕上げ磨きをしたりしてもらうなど、子どもにとっても歯磨きは毎日の習慣である一方で、歯ブラシをくわえたまま転倒し、喉を突くなどの事故が起きています。
    このような事故の報告例は3歳以下の子供に起きやすく、中には歯ブラシが口の中や喉に刺さって集中治療室で管理する必要が生じるなどの重大も事例も含まれています。歯ブラシによる喉突き事故などを防止するため、特に、事故が多い1歳から3歳頃の子どもが自分で歯磨きをするときは、以下のことに気を付けましょう。

    保護者がそばで見守り、床に座らせて歯磨きをさせましょう。

    子どもが歯ブラシを口に入れたり、手に持ったりしたまま歩き回ると、転倒してけがをする危険があります。

    咽頭への穿孔

    子ども用歯ブラシは、喉突き防止対策を施したものを選び、保護者が仕上げ磨きをする歯ブラシと使い分けをしましょう。

    歯ブラシの使い分け

    実際に子供が歯ブラシで喉を突いてしまった場合は、万が一のことを考えると、街の歯医者に行くよりもすぐに大きな病院を受診すべきと思われます。

  • たかが虫歯?放置し続けると命にかかわる病気にも…

    虫歯の頬の腫れ

    当院院長の母校である長崎大学では、4月に新入生を対象に歯科検診を行っています。

    新入生の中には一度も虫歯になったことのない人も一定数いるようで、虫歯の洪水と呼ばれた1970年前後と比較すると、日本でも予防歯科という概念が根付きつつあることを実感します。

    現在は高濃度フッ素が含まれている歯磨き粉や、キシリトールガムなどがどこでも気軽に購入できるので、虫歯予防の効果がある商品を使うのが当たり前になってきており、虫歯の発症数は減少傾向にあります。

    虫歯になる人は減ってきてはいますが、今も虫歯で苦しい思いをする方は相当数いるので、歯科医院では虫歯治療や歯の神経を取る処置(抜髄)が日々行われています。

    初期の虫歯であれば削ってプラスチックで詰めて終了ですが、歯の神経まで虫歯が進むと何もしていなくても歯が痛くなります。こうなると神経を取る処置が必要になりますが、歯医者に行くのが嫌で痛み止めを飲みながら我慢してしまう人がたまにいらっしゃいます。我慢しているうちに痛みが落ち着いてくるため、虫歯が治ったと勘違いされがちですが、実は虫歯が治ったのではなく神経が死んでしまった状態になります。

    このまま放置すると歯の神経内で増殖した虫歯菌が歯の根っこの先から顎の骨に波及していき、顎の骨を溶かしながらさらに感染を広げていきます。虫歯が原因でほっぺまで腫れるような状態は、歯茎・粘膜・顎の骨まで炎症がすすんだ状態ですので、早急に治療が必要となります。

    たかが虫歯ですが、放置し続けると菌血症や敗血症、感染性心内膜炎、心筋梗塞、脳梗塞といった命にかかわる病気につながることがあります。

    初期虫歯は歯を削る量も少なくてすみますし、フッ素塗布でよくなる場合もございます。定期的な歯科検診で早期発見・早期治療を目指しましょう。

  • インプラントに向く人、向かない人

    インプラント体を埋め込むには、顎の骨がしっかりしていることが理想です。

    骨量の少ない人

    骨の吸収

    骨が元々薄い方、歯周病などで骨の吸収が進み、骨量が少なくなっている方は、そのままだとインプラントを維持する強度が足りないため、治療が難しくなります。ただし、現在では技術の進歩により、そういった方でも、あらかじめ骨を造成するなどして治療を進めることが可能です。そういった意味で、インプラント治療非適用者というのは、そう多くはありません。

    重度の糖尿病・高血圧・疾患など

    疾患

    注意を要するのは、重度の糖尿病や重度の高血圧の方、心臓・腎臓・肝臓に重度の疾患のある方です。そういった方は、疾患のせいで全身の細胞のエネルギーが不足していて、骨の代謝が悪く、インプラント治療を行ったとしても、インプラント体と骨との結合がうまくいかない場合があります。細菌と闘う免疫細胞の力も衰えているため、治療後の歯周病菌などへの感染リスクも高まります。

    また、血友病や白血病など血液に病気のある方は、自己免疫機能が極端に低下しているため、病気が治るまでは、原則インプラントはお勧めできません。インプラント治療の前に、問診や全身の検査などをきちんと行うのは、術中・術後のトラブルを避けるために、最低限必要なことなのです。

    喫煙者の方

    喫煙者

    また、一見、健康体でも長期間ヘビースモーカーの方は非適用者になる可能性があります。タバコに含まれるニコチンには、血管を収縮させる働きがあります。そのため、常習的にタバコを吸っていると、血流が悪くなり、インプラントを支える骨や歯肉に十分な酸素や栄養が行き届きません。細菌への抵抗力も弱いため、どんなにメインテナンスを頑張っても、インプラント周囲炎になる可能性が高いのです。

    18歳未満の方、85歳以上の高齢者

    高齢者

    そのほか、年齢的にインプラントに向かない層もあります。まず18歳未満の若年層は、骨が成長途中のため、噛み合わせなどに変化が生じる可能性が大で、顔に歪みが出るリスクもあります。また、85歳以上の高齢者も、体力的な不安からお勧めしていません。

  • チタンが広げたインプラントの可能性

    歯を失った人がインプラント治療で自分の歯と同様に噛めるようになる。それを可能にしたのは、チタンという金属があったからと言っても過言ではないでしょう。

    そもそも人間の体は、外から侵入する異物に拒絶反応を起こし、排除しようとする機能をもっています。ところがチタンは、インプラントとして体の一部である骨に埋め込んでも、拒否反応が起こりません。それどころか、生体親和性が高く、体に馴染む性質があるのです。そのため、チタンを人工歯根として骨に埋め込んだとしても、体は自分の骨だと認識し、その上、時間の経過とともに骨と結合します。つまり、外れないということです。

    チタンが骨と結合するのを最初に発見したのは、スウェーデンの整形外科医、医学者、歯学者であるP・I・ブローネマルク教授です。

    1952年、ブローネマルク教授は、微細血流の研究、計測のためにウサギの膝の骨に埋め込んでいたチタンが取れなくなっていることに気づきました。調べてみると、チタン製の実験装置のネジに骨が結合して、外せなくなっていたのです。

    ブローネマルク教授は、後にこの現象が人体にも応用できることを確認し、チタンが生体と結合する現象を「オッセオインテグレーション」と名付けました。オッセオ(Osseo)とは「骨の」、インテグレーション(Integration)とは「結合」「一体化」などを意味します。

    そして1960年、このオッセオインテグレーションを利用したインプラントを開発しました。15年以上にわたって臨床研究を繰り返し、安全性を認める臨床データが揃った1981年、歯学会に学術論文を発表しました。その発表は歯学界に一大センセーションを巻き起こし、以来、世界各地の臨床現場で、チタンを使ったオッセオインテグレーテッド・インプラントが行われています。

    チタン製のインプラントが骨に埋め込まれると、骨とインプラントの間に徐々に新しい骨が形成されます。素材や部位、個人の骨質にもよりますが、2~6か月ほどで骨の中に完全にインプラントが固定されます。インプラント治療は、こうしたチタンの特性があってこそ成り立つ治療法なのです。

  • はじめに – インプラント治療最前線 –

    みなさんは、歯科医院にどのくらいの頻度で通っていますか? 歯が痛い、ぐらつく、歯肉に炎症が起きている、噛めない……など、「何らかのトラブルがない限りは行かない・行きたくない」という方が多いのではないでしょうか。つまり、歯科医院は、「困ったときに駆け込む特別な場所」になっているかもしれません。

    そういった方々の意識を少しでも変えたいという思いで発信しております。歯科医院を虫歯や歯周病を治療する場所としてだけではなく、健康な歯や体を維持していくためのサポーターとしてとらえ、ぜひとも頼っていただきたいのです。

    超高齢化社会に突入している今の日本では、健康で自立して生きられる「健康寿命」を延ばすことが大きな課題になっています。そして近年、「健康長寿」の実現のためには「口腔内の健康」が非常に重要であることが、数多くの医学的な研究でわかってきました。口腔内の健康、つまりは歯や歯肉の健康こそが、心身の健康の鍵を握っているのです。

    私たちの体は、毎日食べるものから作られていて、何をどれだけ食べるかで体のコンディションは違ってきます。健康ブームの今、できるだけ体にいいものを食べたいと思い、テレビや雑誌などでおすすめの食材や食べ方が紹介されるたびに、飛びつく方も多いようです。

    でも、考えてみてください。どんなに体にいいとされるものでも、しっかり噛める歯がなければ、思うようには食べられません。体にいい食事は、食物をしっかり噛み砕くことのできる歯があって、はじめて成り立つのです。繊維質の多い野菜やフランスパン等、噛めば噛むほど味わい深くなる食品は18本以上の歯がないと、おいしく噛むことが難しいと言われています。

    虫歯や歯周病の悪化などによって、歯を失ってしまうと、噛み合わせが悪くなり、噛む力は衰えます。その状態を放っておくと、口腔内だけでなく、全身の機能低下を招きます。結果、消化器系のトラブル、高血圧、糖尿病など、さまざまな疾患の一因になってしまうのです。

    また、今後詳しくお話ししますが、噛むという行為そのものも、全身の健康と深い関わりがあります。たくさん噛むと自律神経が刺激されて、脳の働きが活性化します。そのため、毎日しっかり噛んで食事をすることは、認知症の予防にもつながるとされています。

    さらに、咀嚼回数が増えるほど、唾液の分泌量が増えるというのも大きなメリットです。唾液には、食べ物の消化を助ける、味覚を高める、口腔内を洗浄するなど、さまざまな働きがあります。これまであまり噛まなかった人が、よく噛んで唾液をたくさん出すようにしただけで、体調が良くなったり、不定愁訴が治ったりすることもあるほどです。しっかり噛むことは、「健康長寿」に不可欠な条件と言えるでしょう。

    今は噛むことに支障がないという方でも、将来大切な歯を失って後悔しないように、日々のブラッシングや歯科医院での定期検診やクリーニングなど、しっかりケアをしていくことが大切です。一方、既に虫歯や歯周病が進行し、やむなく歯を失ってしまった方は、そのまま放置しないようにしましょう。失った歯に代わる歯を補って、不具合なく食事ができるようにする必要があります。

    人工的に歯を補う場合の選択肢は、「義歯(入れ歯)」「ブリッジ」「インプラント」の3つです。中でも、ここ20年の間に世界的な普及を遂げ、目覚ましく進化しているインプラント治療は、見た目も機能面も、「第二の永久歯」と言われるほど、一度歯を失った人に再び「噛める喜び」を与えてくれる画期的な技術です。

    ただし、外科手術を伴う、治療費がかかるなど、入れ歯やブリッジに比べて、ハードルが高く感じる方が多いのも事実です。インプラント治療について詳しくは知らないまま、イメージだけで敬遠している方もいらっしゃるでしょう。

    このコラムの目的は、「噛む」という当たり前のことができなくて悩んでいる方々に、正しい情報を提供し、より良い選択をしていただくことにあります。ほかの誰かではないご自身が納得のいく治療を受け、しっかりとおいしく噛めるようになり、口腔内の健康を取り戻す。そして健康寿命が延びる……そんな風に患者の人生が好転するお手伝いができたら幸いです。本書を手に取った方には、ぜひその体験をしてほしいと思います。多くの患者のQOL(生活の質)を改善することは、歯科医師としての私の生きがいです。

    2022年7月

    歯科医師・歯学博士 冨田尚充

  • 虫歯になりにくいチョコレート

    キシリトールチョコレート

    当院では、このたび患者さんに感謝の意を表して「虫歯になりにくいチョコレート」をオリジナルで作ってもらいました。ミュータンス菌の酸生産を極力抑えるレベルまでキシリトール含有量を増やしている高価なチョコレートです。

    【方向性】

    甘味料としてキシリトール100%配合のチョコです。味はダークチョコです。

    チョコレートの中で、むし歯を作る原因となっているのは「砂糖」。そこで、砂糖を全く使わず、甘味料を100%キシリトールにすることで「むし歯予防効果の高いチョコレート」にしました。

    【原材料】

    カカオマス(原産国表示)、ココアバター / 甘味料(キシリトール)、乳化剤(大豆由来)

    【補足】

    カカオマス

    抗酸化作用の強い「カカオポリフェノール」やリラックス効果が高い「テオブロミン」が豊富に含まれています。カカオポリフェノールは、歯周病や口臭予防にも効果があるとされています。その理由はカカオポリフェノールの持つ抗菌作用と抗酸化作用にあります。

    ココアバター

    チョコレートを柔らかく食べやすくします。【う蝕(虫歯)の原因になる物】です。

    キシリトール

    糖アルコールという糖質の一種で、野菜や果物に含まれている自然の甘味料です。砂糖と同じ甘味度を持っています。キシリトールを始めとする糖アルコールは、むし歯の原因になりません。しかし、糖アルコールの中で、ソルビトールやマルチトールからは、少量ですが歯垢(プラーク)中で酸ができますが、キシリトールからは酸は全くできません。キシリトールには、「むし歯の発生や進行を防ぐ」という、他の糖アルコールにはない特徴的な効果があるとされています。

    チョコレート

    カカオ70%配合のダークチョコレートです。
    注)チョコレートに対するアレルギーのある方にはお勧めできません。食べ過ぎるとお腹が緩くなります。

    【参考】

    キシリトールの効果が期待できるお菓子は、ガムかタブレット(錠菓)に限られるとされる意見もあります。理由はガムやタブレット以外でキシリトールが口の中に長くとどまるものがないからです。

    これ以外のお菓子や食品、例えば、ケーキやジュース類にキシリトールが含まれていても、むし歯予防の効果は期待できません。なぜなら、ガムやタブレット以外でキシリトールが口の中に長くとどまるものがないからです。その為、このチョコはお口の中でゆっくり溶かしながら食べることでキシリトールの効果を期待します。

    キシリトールチョコが「むし歯予防効果の高いチョコレート」というコンセプトの為、これさえ食べていたら虫歯ができないわけではありません。あくまでも、「虫歯を防ぐ」ために食べるチョコレートです。「虫歯にならない」「虫歯を治す」ためのチョコレートではないです。この為、キシリトールチョコを食べても虫歯にならないと安心はしないでください。

    通常通り歯磨きやうがいをしっかりと行い、歯医者で定期的に歯の健康をチェックしてください。目安として、大人の場合は1日3回。1回に1~3粒ほど食べるとよいとされています。小さなお子様の場合には、1日に1粒で十分です。口の中の環境を整えるためにも、ゆっくりと口の中で転がしながらなめて食べてください。

    【他の商品との比較】

    原材料に全粉乳を使用する、キシリトール以外の糖アルコールも併用したチョコレートもあるようですが虫歯の原因になると思われますので、この商品ではこれらを使用しておりません。

03-6379-1185

業者様専用ダイヤル(診療予約不可):
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