• 糖尿病と歯周病の負の相関関係

    糖尿病

    糖尿病も、歯周病と深い関係をもつ疾患です。
    日本の糖尿病患者数は、生活習慣と社会環境の変化に伴って、急速に増加しています。

    厚生労働省の国民健康・栄養調査(令和元年)によると、疾患が疑われる人を含めた場合、5~6人に1人が罹患しているとされる「国民病」です。

    糖尿病は、「インスリンの作用不足によって慢性高血糖をきたし、長期化することで特有の合併症を生じるとともに、動脈硬化をも進行させる病気」(日本糖尿病学会)です。本来、食べ物を消化したり、体内で産生したりすることで作られた糖(グルコース)は細胞のエネルギー源として、血液に乗って全身に行き渡ります。ところが、糖が多過ぎると細胞に取り込みきれず、血液中に糖があふれている状態になります。このように、血管内に糖が多く含まれている(=高血糖)と、血管の壁が傷つきやすく、しかも脂質が血管内に溜まりやすい状態になります。結果、血液が通る道が狭くなり、進行すると動脈硬化になってしまうのです。

    糖尿病の初期は、口が渇いたり、多尿になる程度で自覚症状がほとんどありません。静かに進行し、気づいたときには血管がボロボロになっていて、網膜症、神経障害、腎臓疾患などの合併症を引き起こします。また、血管が狭くなることで、動脈硬化が進行し、ひいては心筋梗塞や脳梗塞を併発するケースも少なくありません。

    糖尿病

    そして近年、糖尿病が歯周病の進行を促すことも明らかになっていて、今や歯周病は「糖尿病の6番目の合併症」と認識されるほどです。つまり、糖尿病があると歯周病が悪化し、その上、治りにくいとされています。
    歯肉は毛細血管がたくさん集まっている場所です。糖尿病が原因で歯肉の毛細血管がダメージを負うと、歯肉の下の組織を通る血流が悪くなって炎症を起こします。その炎症により、歯肉溝が開いて細菌が入って来やすくなります。つまり歯周病菌の感染リスクが高まります。さらに炎症が広がると、歯肉の毛細血管が変性し、歯肉への酸素や栄養成分の補給が不十分になり、歯肉の組織は正常な働きを保つことができません。そのため歯周病が悪化してしまうわけです。

    また、糖尿病で血糖値の高い状態が続くと、いわゆる「糖化」が始まります。糖化とは、体内で、たんぱく質と余分な糖が結びついて、たんぱく質が変性、劣化し、AGEs(糖化最終生成物)という老化物質を生成する反応です。AGEsは分解されにくいため、糖化が進むと、体内のAGEsがどんどん増えてしまいます。つまり、老化が加速してしまうということです。糖化といえば、たるみやくすみ、シミなど、肌の老化の一因として注目されることが多いようですが、実際はそれだけではなく、内臓をはじめとする体内組織に作用して、さまざまな病気の原因になります。歯周病の発症や進行も同様です。

    一方で、歯周病が糖尿病の悪化に関与していることも報告されています。
    東京医科歯科大学歯学部の石川烈教授のグループの研究で、重度の歯周病にかかっている糖尿病患者を2年間観察したところ、糖尿病の治療をしても血糖コントロールがうまくいかなかったという結果でした。ところが、同じ患者に歯周病治療を行ったところ、インスリンの必要量が減って血糖コントロールが改善したというものです。これは、歯周病の炎症が糖尿病の血糖コントロールに影響を与えているということを示しています。

    歯周病と糖尿病は負の相関関係にあります。両方を同時に治療しなければ、どちらの病状も回復しないということが明らかになってきました。近年、医療現場では、糖尿病治療の一環として、歯周病管理を重要視する方針が浸透してきています。

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