歯を残すクラウンレンスニングエクストルージョン

１．虫歯で歯根だけ（残根）になると、抜歯の可能性が高くなる

虫歯を長く放置してしまうと、虫歯が歯の中でどんどん進行します。
その結果、急に歯の一部分が欠けたり、歯冠（歯の頭）が無くなることに繋がります。

また、かぶせ物をしていた歯の内部で、長い時間かけて虫歯が進行する場合もあります。
歯の神経を取った歯ではこの虫歯の痛みを感じません。レントゲン撮影で確認しない限り、歯が欠けたりニオイがするなどがきっかけで見つかるため、発見が遅れることになります。

このように、歯根だけになった歯（残根）に土台を立て、かぶせ物をするためには、歯肉より上にある程度の歯が残っていないと治療はできません。歯科医院によっては、抜歯が必要と説明されることもよくあります。

では、どういう歯が残ることができ、抜歯しなければいけない歯とどう違うのでしょうか？

２．その歯が残せるかどうかは「見える歯の高さ」がポイントです

歯が残せるかどうか、その基準の１つに生物学的幅径（フェルール）という概念があります。

歯肉から上の部分で健康な歯根（歯質）が２㎜以上あれば、健康な歯周組織を獲得できます。これをかぶせ物で歯根を抱え込む事で、歯根が折れる（歯根破折）を防止する、という効果があります。この「フェルールを獲得することが差し歯の長期的予後を決める」といっても過言ではありません。

この「健康な歯が２mm以上」を確保できなければ抜歯せざるを得ない、と判断されてしまうわけです。

しかし、「何らかの方法でその歯が残せる可能性があるのならば、ぜひ保存したい」と私たちは考えています。

３．当院で行なっている２つの治療法について

このように、フェルールを獲得できておらず、他院で抜歯しかないと言われた歯に対して、当院では「クラウンレンスニング」と「エクストルージョン」という２つの方法により、歯を残せないかと常に考えています。ここでは、それぞれについてご紹介していきます。

１）クラウンレンスニング

当院ではまず「クラウンレンスニング」という治療法を提案しております。この治療法は、歯根周囲の歯肉を切除したり、歯槽骨を一部削る事で、フェルールの高さを獲得するという治療法です。デメリットとしては、クラウンレンスニングでは歯肉の高さを下げるため、隣の歯と歯肉の高さを揃えにくくなることです。審美性を求める部分にはやや使いにくい方法かもしれません。

しかし、小臼歯、大臼歯部などで歯根部分の長さが十分残っており、歯の頭を失って歯根だけになっている場合、そして他院で抜歯と言われた方には、ぜひ検討させていただきたいと思います。

２）エクストルージョン

もう１つの方法は、歯根を矯正治療のようにひっぱって（挺出）くる方法です。

健全な歯質を歯肉の上に確保するという目的はクラウンレンスニングと同じですが、違いは歯列矯正を利用して、歯根を引っ張り上げるという点です。

この方法の良い点は、歯肉のラインをある程度隣在歯と揃えることができる点です。矯正力を使って引っ張り上げると、歯根とともに当該歯の歯周組織も引っ張られる方向に動きます。これにより、クラウンレングスニングと同じフェルールを獲得することができます。
ただし、エクストルージョンもデメリットがあります。矯正の装置を使用するので、費用が高額になります。また治療が複雑になり、治療期間がかかることもあります。そして最終的には、クラウンレングスニング同様、歯肉の小手術をしなければならないことがあります。しかし、歯を保存できる可能性は格段に高くなります。

このように、えいふく総合エキ歯科では、１本の歯の保存にこだわる治療を行っております。
他院で抜歯と言われた歯も、当院では残せるかもしれません。
ご興味を持たれましたら、いつでもお気軽に歯科医師、スタッフまでお声掛けください。

４．その他、歯を保存する治療

歯根端切除術

診断名	根尖病変
治療内容・材料	歯根端切除
治療期間・通院回数	約2回
費用	保険治療 8,000円前後（初診・再診除く）

歯の根の先端が感染している場合、抜歯を余儀なくされることもありますが、当院では歯ぐきからアプローチして、感染部分のみを除去する「歯根端切除術」という治療方法を行い、なるべく歯を抜かずに保存する方法を行っております。ケースによっては、この方法が難しい場合（適応にならない場合）もありますが、まずはお気軽にご相談下さい。