• 虫歯の陰にミュースタンス菌あり

    ミュータンス菌

    口腔内細菌の中で、虫歯の原因となるのは、ミュースタンスレンサ球菌、通称「ミュースタンス菌」といい、虫歯菌とも呼ばれています。大きさは、約1マイクロメートル(1/1000ミリメートル)ととても小さく、真珠のネックレスのようにつながって増えていきます。

    ミュースタンス菌は、食べ物や飲み物に含まれる糖質(主に砂糖やショ糖)をエサにして、ネバネバとした不溶性の「グルカン」という物質を作り、歯の表面にべったりとはり付きます。それがプラーク(バイオフィルム)です。
    さらに、そのプラーク内にも潜むミュースタンス菌が、糖質をエサにして〝酸〟を生成し、歯のエナメル質を溶かします。
    歯の表面のエナメル質は本来硬い物質ですが、唯一、酸には弱いのです。ミュースタンス菌が作り出すグルカンは、酢と同じくらいの強い酸でできています。エナメル質の主成分はリン酸カルシウムで、酸に侵されると、カルシウムイオンとリン酸イオンに分解されるため、脆くなってしまうのです。

    ミュースタンス菌がエナメル質を溶かすことを「脱灰」といい、歯の表面が白く濁ってきます。ただし、エナメル質には知覚がないため、痛む、しみるといった自覚症状がないまま虫歯が進行しがちです。脱灰が進むとエナメル質に穴が開き、そのうちエナメル質の内側にある象牙質まで進行します。ここまでくると冷たい食べ物がしみるようになり、さらに放置すると、菌が歯の内部の歯髄(神経)部分にまで到達して、激しい痛みを感じるようになります。

    もっと症状が進行して、歯冠部(歯肉から上の部分)がほとんど崩壊し、歯根だけが残った状態になると、もはや歯髄は死んでしまい、痛みがなくなることもあります。また、歯根の先が化膿したり、歯根膜炎を併発することがあり、最悪の場合は抜歯せざるを得なくなります。

     

    アメリカのカイス教授が、虫歯になる条件として、

    • ① 歯牙があること
    • ② 細菌があること
    • ③ 細菌の栄養となる糖分があること

    の3つを挙げています。これは「カイスの輪」と呼ばれる理論で、近年はこれに

    • ④ 時間があること

    を加えた4要素の考え方が主流になっています。

    細菌が増えるためには、糖分を分解してエネルギーを得なければならず、それにはある程度の時間がかかるということです。歯を磨いてプラークをきれいに除去できたとすると、ミュースタンス菌が再度バイオフィルムを形成するまでに、24時間はかかることがわかってきました。
    飲食の後、すばやく歯ブラシなどでプラークを取り除いてしまえば、エナメル質は再石灰化を開始します。唾液に豊富に含まれるカルシウムイオンやリン酸イオンがエナメル質の表層下に浸透し、脱灰部分を自力で修復させてくれるのです。

    虫歯の進行には、ミュースタンス菌以外に、乳酸桿菌という繭玉のような形をした細菌も関わっていることがわかっています。乳酸桿菌は、体に良い働きをする菌として知られている乳酸菌の仲間です。本来、乳酸菌は粘膜の表面にいて、乳酸を出すことでその場所を弱酸性にして、病原体などの悪い細菌が増えるのを予防しています。ところが、口の中でミュースタンス菌にくっつくと、バイオフィルムを弱酸性から強酸性に傾かせ、エナメル質を溶かす手助けをしてしまうのです。
    ただし、ミュースタンス菌と乳酸桿菌が強力タッグを組むのは、バイオフィルムの中でのことであり、歯ブラシでしっかりプラークを取り除く習慣がついていれば、虫歯を進行させることはありません。

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