歯根破折とは

歯根破折(しこんはせつ)とは、歯の頭の部分ではなく、歯ぐきの奥に埋まっている「歯の根っこ(歯根)」が割れたり、ひびが入ったりすることです。
歯の根っこが割れると、その隙間から細菌が入り込み、歯ぐきが腫れたり激しい痛みが出たりします。進行すると歯を支える骨が溶けてしまうため、早期の発見と適切な処置が非常に重要です。
歯根破折の自覚症状
初期の段階では症状が出にくく、気づかないうちに進行していることもあります。以下のような症状がある場合は、歯根破折の可能性があります。
- 噛むと痛い、違和感がある
- 歯ぐきがぷっくりと腫れる、ウミが出る
- 歯がグラグラと揺れる
- 疲れたときにだけ鈍い痛みを感じる
- 神経を抜いた歯が急に痛み出した
歯根破折になる原因
歯根破折の多くは、日常生活の負担や過去の治療が原因で起こります。主な原因は以下の3つです。
1.神経を抜いた歯の強度低下
神経を抜いた歯は、栄養が行き届かなくなるため、枯れ木のように脆くなります。さらに、歯を補強するための金属の土台(メタルコア)が楔(くさび)のような負担となり、根っこを割ってしまうケースが多々あります。
2.歯ぎしり・食いしばり
就寝中の歯ぎしりや、無意識の食いしばりは、歯に体重以上の強い負荷をかけ続けます。この持続的な過度な力が、歯根にひびを入れる大きな原因になります。
3.強い衝撃(外傷)
転倒やスポーツ、事故などで口元を強くぶつけた際に、歯の根っこまで強い力が加わって割れてしまうことがあります。
歯根破折の予防方法
大切な歯の根っこを守るためには、事前の予防と対策が効果的です。
ナイトガード(マウスピース)の装着
夜間の歯ぎしりや食いしばりから歯を守るため、就寝時に専用のマウスピースを着用します。
ファイバーコア(しなやかな土台)の選択
神経を抜いた歯の土台を作る際、金属ではなく、歯の硬さに近い「グラスファイバー」の土台(ファイバーコア)を選ぶことで、根っこにかかる負担を大幅に軽減できます。
かみ合わせの定期的な調整
特定の歯にだけ強い力がかからないよう、定期検診で全体のかみ合わせをチェック・調整します。
歯根破折になった場合の治療法
割れ方やひびの深さ、細菌感染の度合いによって治療法が変わります。
歯を保存する治療(接着修復法)
ひびが浅い場合や、割れ方によっては、一度歯の根っこをきれいに洗浄し、歯科用の特殊な接着剤で割れた部分を強固に固定して歯を残せる可能性があります。
根管治療(歯の根の治療)
軽度のひびであれば、精密な根管治療を行うことで、細菌を徹底的に除去し、症状を鎮めます。
抜歯(やむを得ない場合)
根っこが真っ二つに深く割れている場合や、周囲の骨の破壊が進んでいる場合は、お口全体の健康を守るために抜歯を選択せざるを得ないこともあります。
他院で抜歯と診断された方へ

「歯の根っこが割れているので、抜くしかありません」と言われ、ショックを受けられている方も多いと思います。確かに歯根破折は抜歯の主要な原因の一つですが、割れ方の状態によっては、他院で抜歯と言われた歯でも、状態によってはまだ残せる可能性が残されているかもしれません。
当院では、お口の状態に合わせて歯科用CTやマイクロスコープを用いた精密な診断を行い、本当に抜歯が必要かどうかを慎重に見極めます。あきらめずにまずは一度ご相談ください(セカンドオピニオンも受け付けております)。
※肉眼で明らかに破折していると判断できる場合は、CTやマイクロスコープ等の検査を省略することがあります。
やむを得ず抜歯となった後の治療法は?
精密に診断した結果、どうしても歯を残すことが難しい(抜歯が必要)と判断された場合でも、ご安心ください。失った歯の機能を補うための3つの選択肢をご提案し、患者様のご希望に合わせた治療を行います。
インプラント治療
あごの骨に人工の根を埋め込み、独立した歯を立ち上げます。周りの健康な歯を削る必要がなく、天然の歯とほぼ同じ感覚でしっかり噛むことができます。
ブリッジ治療
失った歯の両隣の歯を削り、橋をかけるように一体型の被せ物を装着します。固定式のため違和感が少ないですが、両隣の歯に負担がかかります。
入れ歯(義歯)治療
取り外し式の入れ歯です。治療期間が短く、健康な歯をほとんど削らずに作製できます。保険適用のものから、金属のバネが見えない自費のノンクラスプデンチャーまで幅広く対応しています。
歯根破折よくあるご質問Q&A
- 歯根破折はレントゲンですぐに分かりますか?
- レントゲンだけでは分からないことも通常の2次元レントゲンでは、ひびの入った角度によって写らないことがあります。そのため当院では、目視での確認が難しい場合など、必要に応じて3次元で骨や根の状態を立体的に確認できる「歯科用CT」を用いて精密な診断を行います。
- 痛みがなくても、歯根破折を放置して大丈夫ですか?
- 放置は非常に危険です。痛みがなくても、割れた隙間から細菌が侵入し続け、あごの骨を溶かしてしまいます。骨が大きく溶けてしまうと、その後のインプラントや入れ歯の治療も難しくなるため、早めの処置が必要です。
- 神経がある歯でも根っこが割れることはありますか?
- 可能性はあります。神経のある歯は脆くなっていませんが、激しいスポーツでの衝突や、極端に強い歯ぎしり・食いしばりがある場合、健康な歯であっても破折することがあります。

